なぜ私はArch Linuxを使うのか - 他のディストリビューションと比較して
私は現在、daily driverとしてArch Linuxを使用しています。 LinuxをメインOSとして使用するのはArch Linuxが初めてでした。
ここでは、なぜArch Linuxを選んだのか、そして他の人気ディストリビューションと比較してどのような利点があるのかを説明します。
序 Windowsとの決別
私は長年Windowsユーザーで、ごく特殊な理由がない限り、Windowsを使い続けるつもりでした。 しかし、Windows11環境で起こる不具合やパフォーマンスの低下など細かなストレスが積み重なり、ついにLinuxへの移行を決意しました。
なぜ、Windowsをやめたのかは私のQiitaの記事”なぜ私はWindowsを捨ててArch Linuxに住み着いたのか。システムの主しての「自由」“をご覧ください。
軽くまとめると以下の3点に不満を感じていました。
- リソースの無駄遣い - Windowsはバックグラウンドで多くのプロセスが動作しており、システムリソースを消費していると感じていました。
- 個人的なワークフローとの不一致 - Windowsの操作感や設定が自分の作業スタイルに合わず、効率的に作業できないと感じていました。
- 開発環境と本番環境の不一致 - 開発環境として使用しているWindowsでの修正方法(サーバーの設定内容など)がLinuxではそのまま使用できず、Powershellをbashに翻訳する作業が発生していました。
そのようなストレスの積み重ねからLinuxへの移行を決意しました。
破 乱立するディストリビューションと軸
Linuxには多くのディストリビューション、フレーバーが存在しています。
これはLinux自体がオープンソースなもので誰でも自由にカスタマイズできるため、設計思想や目的に応じて様々なディストリビューションが生まれています。
その数は数百〜数千とも言われており、ベテランさんや初心者さん問わず、どのディストリビューションを選べばいいのか迷うことが多いと思います。
私もLinuxを選ぶ際に、どのディストリビューションを選べばいいのか迷いました。
ここでは、私がディストリビューションを選ぶ上で重視した軸と、いくつかの人気ディストリビューションを比較してみます。
ディストリビューションを選ぶ上で重視した軸
1. システムが安定している
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これは最も重要な軸の1つです。ただし、安定性の定義は人によって異なります。私にとっての安定性は以下の通りです。
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・ディストリビューションがメンテナンスされていること。つまり、定期的なアップデートが提供されていること。
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・もしアップデートで不具合が発生した場合、その問題がLinuxのコア部分なのか、ディストリビューションの独自の部分なのかが明確であること。
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これは、Windows11で発生していた不具合の原因を特定できないというストレスから、問題点は自分で解決できる部分にあるべきだと感じたためです。
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2. 自分の管理下にある
- 今自分のOSでなにが動いているのかを把握できる。
- ・Windows11のようにいろんななにかが勝手に動いているのは嫌だと感じました。
- ・1でも述べたように、もし不具合が発生した場合、その原因が自分で解決できる部分にあるべきだと感じました。
3. 最新のソフトウェアを利用できる
- これは、私が開発者であることも関係していますが、最新のソフトウェアを利用できることは重要な軸の1つです。
- ・最新のソフトウェアを利用できることで、常に最新の情報をキャッチアップすることができます。
4. 自分のワークフローを最適化できる
- 自分のワークフローがWindowsでは最適化できていませんでした。これをLinuxでは改善したいと考えました。
人気ディストリビューションとの比較
| ディストリビューション | 安定性 | 自分の管理下にあるか | 最新のソフトウェアを利用できるか | ワークフローの最適化 |
|---|---|---|---|---|
| Arch Linux | ○ | ○ | ○ | ○ |
| Ubuntu | ○ | △ | △ | △ |
| Debian | ○ | △ | △ | △ |
| Fedora | ○ | △ | ○ | ○ |
| Manjaro | △ | ○ | ○ | ○ |
Ubuntu
Ubuntuは、最も有名なLinuxディストリビューションの1つで、初心者から上級者まで幅広いユーザーに支持されています。
Ubuntuはサーバー用途でよくお世話になっており、安定性は定期リリースによって高いレベルで担保されています。
また、初心者でも扱いやすくするため、かなりユーザーフレンドリーにGUIを提供しています。
そのため、UbuntuではDE(デスクトップ環境)の選択肢が限られており、ワークフローの最適化が難しいと感じました。
また、最新のソフトウェアを使用するには標準のaptでは古いバージョンしか提供されないことが多く、PPAやFlatpakなどの追加の手段を利用する必要があるため、最新のソフトウェアを利用できるかという軸では△としました。
Debian
Debianはこの世に存在するLinuxディストリビューションの中で最も古いものの1つで、数多くのディストリビューションのベースとなっています。(UbuntuもDebianをベースにしています。) DebianもUbuntuと同様に安定性には定評があります。しかし、多くの問題点はUbuntuと同様で、最新のソフトウェアを利用できるかという軸では△としました。 また、Ubuntuと同様にDEの選択肢が限られており、ワークフローの最適化が難しいと感じました。
Fedora
Fedoraは私が最後までArch Linuxと迷ったディストリビューションの1つで、Red Hatがスポンサーとなっていることもあり、企業向けの安定性と最新のソフトウェアを両立させている点が魅力的でした。 また、コミュニティも最新技術に貪欲で、ワークフローの最適化の手段がコミュニティによって多く存在している点も魅力的でした。 しかし、Fedoraはリリースサイクルが短く、破壊的な変更も度々発生するため、安定性の軸では○としましたが、私の求める管理下にあるかという軸では△としました。 もし、ここも○で懸念がなければ、Fedoraを選んでいた可能性が高いです。 (星乃リナさんに憧れて使っていたかもしれません)
Manjaro
ManjaroはArch Linuxをベースにしたディストリビューションで、初心者でも扱いやすいように設計されています。 Arch Linuxの利点を享受しつつ、インストーラーやGUIツールを提供することで、初心者でも扱いやすいようにしています。 しかし、Arch Linuxの利点であるAURを利用するとManjaro自体が不安定になる可能性が高いと公式が警告していることもあり、最新のソフトウェアを利用できるかという軸では○としましたが、安定性の軸では△としました。 また、それ以外の部分についてはArch Linuxと同様の利点を享受できるため、管理下にあるかという軸では○、ワークフローの最適化の軸では○としました。
多くのYoutuberさんがManjaroを紹介していることもあり、初心者の方にはおすすめのディストリビューションだと思います。
急 なぜArch Linuxを選んだのか
ここまで見てきたように、私はArch Linuxを選ぶ上で、安定性、自分の管理下にあるか、最新のソフトウェアを利用できるか、ワークフローの最適化の4つの軸を重視しました。
- 安定性 - Arch Linuxはローリングリリースモデルを採用しており、アップデートの内容をユーザーが把握しやすい構造になっています。これにより、アップデートによる不具合が発生した場合、その原因が自分で解決できる部分にあることが多いです。
- 自分の管理下にあるか - Arch Linuxは、ユーザーがシステムの構成を完全に把握できるように設計されており、必要なソフトウェアやサービスを自分で選択してインストールすることができます。
- 最新のソフトウェアを利用できるか - Arch Linuxは、最新のソフトウェアを提供することに重点を置いており、公式リポジトリやAURを通じて最新のソフトウェアを利用することができます。
- ワークフローの最適化 - Arch Linuxは、KISS原則(Keep It Simple, Stupid)を採用しており、ユーザーが自分のワークフローに合わせてシステムをカスタマイズできるようになっています。
Arch Linuxには以上のようにすべての軸を満たしているため、私はArch Linuxを選びました。
中でも使用している中で特に魅力を感じているのは、安定性と自分の管理下にあるかという軸です。 Arch Linuxは**KISS原則(Keep It Simple, Stupid)**を採用しており、マシンにインストールされているソフトウェアはユーザーが明示的にインストールしたものだけであるため、システムの構成を完全に把握することができます。 これにより、よく分からないプロセスが勝手に動いていることがなく、あなたのリソースを効率的に使用することができます。
Arch Linuxは最初のインストールが難しいと言われていますが、Arch Linuxをインストールする過程で、Linuxの基礎的な知識を身につけることができます。 初心者に手放しでおすすめできるディストリビューションではありませんが、Linuxを学びたい人には非常に良い選択肢だと思います。
自分はこれからもArch Linuxを使い続けていく予定です。
それではまた!